経理書類のおすすめ保存法とファイリングのコツ

経理書類のおすすめ保存法とファイリングのコツ

個人事業を始められたばかりの方、会社を設立されたばかりの起業家の方は、
経理関係書類をどのように保存すればよいか迷われるのではないでしょうか。
ここでは、一般的に保存されている方法の中でも、オススメな方法をご紹介します。


1.保存する経理書類とその保存期間

証憑書類や会計帳簿の保存期間は、「会社法」と「法人税法」という二つの法律で定められています。
保存期間は、10年間です。ここでどんな書類の保存が必要か整理しておきましょう。

保存
期間

証憑書類と会計帳簿 

根拠条文

10年間
(主に会社法)
① 計算書類および附属明細書
決算書(賃借対照表、損益計算書、株主資本等変動計画書、個別注記表)
② 会計帳簿および事業に関する重要書類
総勘定元帳、仕訳帳、各種補助簿(現金出納帳、売上帳、仕入帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳等)、株式申込簿、 株式割当簿、株式台帳、株式名義書換簿、 配当簿、印鑑簿等
①会社法435条
②会社法432条、法人税法施行規則59条、67条
10年間
(主に法人税法)※1
① 取引、決算、現預金、有価証券に関する帳簿及び証憑書類
領収書、預金通帳、請求書、注文請書、契約書、見積書、納品書、棚卸在庫表、仕入伝票等
② 電子取引の取引情報に係る電磁的記録
(取引に関して受領または交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項の記録)
③ 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、配偶者特別控除申告書、保険料控除申告書
④ 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
⑤ 源泉徴収簿(賃金台帳)
⑥ 課税仕入等の税額の控除に係る帳簿、請求書等
(5年経過後は、帳簿または請求書等のいずれかを保存)
⑦ 資産の譲渡等、課税仕入、課税貨物の保税地域からの引取りに関する帳簿
①法人税法施行規則59条、67条
②電子帳簿保存法第10条、電子帳簿保存法施行規則8条
③④⑤国税通則法70~73条
⑥消費税法30条、消費税法施行令50条、消費税法施行規則15の3条
⑪消費税法58条、消費税法施行令71条

※1・・・平成23年12月税制改正により、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が7年間から9年間に延長されました。また、平成28年度税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する欠損金額の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間に延長されています。


2.保存方法

保存方法は、いくつか認められていますが、紙による保存が原則です。要件及び手続の煩雑性からその他の方法はあまり採用されない傾向にありますが、今後は税法改正により電磁的記録による方法が緩和されていくと考えられます。

① 紙による保存(原則)

帳簿書類の保存方法は、紙で保存することが原則とされています。
そのため、パソコン等の電子計算機によって作成した帳簿書類についても、電子計算機から印刷し、紙として保存することが原則です。

② 6年目~9年目のマイクロフィルムによる保存方法

帳簿書類の保存は、紙による保存が原則ですが、保存期間の6年目~9年目の帳簿書類は、一定の要件を満たすマイクロフィルムにより保存することができます。
なお、マイクロフィルムによる保存を行う場合には、一定の基準を満たすマイクロフィルムリーダ又はマイクロフィルムリーダプリンタを設置する必要があります。

③ 電磁的記録による保存方法

最初の記録段階から一貫して電子計算機(パソコン等)を使用して作成する帳簿書類で、一定の要件を満たすものについては、サーバ・DVD・CDなどに記録した電磁的記録(電子データ)のままで保存することができます。
ただし、電磁的記録による保存を行う場合には、保存を開始する日の3ヶ月前までに、あらかじめ所轄税務署長に対して申請書を提出して承認を受けることが必要です。

④ 一定の書類のスキャナ読取りの電磁的記録の保存方法

保存すべき書類のうち、領収書・預金通帳・請求書・注文請書・契約書・見積書・納品書・棚卸在庫表などについては、スキャナ読取りの電磁的記録による保存を行うことができます。
ただし、電磁的記録による保存を行う場合には、保存を開始する日の3ヶ月前までに、あらかじめ所轄税務署長に対して申請書を提出して承認を受けることが必要です。


3.ファイリングのコツ

まずは、ファイルを3つ用意しましょう。

①永久保存用ファイル … 重要な書類であり、決算期に関係なく都度綴じていきます。

②決算期単位のファイル … 毎期新しいファイル作り替えます。決算書を作成する基礎となります。

③暦年単位のファイル … 主に給与関係のファイルです。給与は決算期に関係なく暦年単位で区切りがあります。

 

目次

具体例

①永久保存用ファイル 設立、届出書関係 登記簿謄本、定款、税務署や都道府県へ提出した書類の控え
議事録 関係 株主総会議事録、取締役会議事録
契約書関係 賃貸借契約書、業務委託契約書、売買契約書、金銭消費貸借契約書
社会保険関係
労働保険関係
社会保険適用通知書、算定基礎届
保険関係成立届、雇用保険適用事務所設置届、労働保険申告書
保険証券 生命保険証券、損害保険証券
※パンチ穴を空けずに保存できるクリアポケットを利用しましょう
借用証書 借用証書、借入金返済予定表
②決算期単位のファイル 売上、仕入 請求書、納品書、送り状
一般経費 現金領収書、通帳コピー、クレジットカード明細(内訳書控え含む)
※領収書などは白い紙に貼り付け、紛失を防ぎましょう。
月別、勘定科目別に綴じるとわかりやすい
③暦年単位のファイル 年末調整関係 源泉徴収簿、源泉所得税の納付書控え
給与関係 賃金台帳、給与明細書、月別給与一覧表

 

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