100年経営

商売とビジネスの意味〜利他の他は誰か〜

商売って何か。
ビジネスって何でしょうか。

皆さんは、ビジネスという言葉を聞くと、どんなイメージを持つでしょうか。
若い人に聞くと、ビジネス=「お金が発生する」というイメージがあるらしい。

これはいわゆる「ビジネスライク」的な言葉が影響しているのか、あまりいいイメージではなさそう。

そこに人情や感情がなく、なんか悲しいです。

私は、ビジネスというより、「商売」という言葉の方が好きです。
なんとなく、人との繋がりのイメージが想起されるから。

商売の定義については、広辞苑とか大辞林などに載っている内容で間違っていないと思うし、それに関して触れるつもりはない。

ここで私が伝えたいのは、商売の解釈と、商売をする人間の気持ちです。

ここでは、私なりの「商売」についての解釈を、自分のこれまでの人生に重ね合わせ、言葉にしていきたいと思います。


1.「商売」の解釈

1-1.商売とは

私は、「商売とは自己成長を伴いながら世の中を良くする高尚な行い」と解釈している。

なぜなら、商売を通じて人を喜ばせることができ、自分もやりがいを感じるし、自分が成長できるから。

短期的には商売を続けられるとしても、長期的に持続させようと思うと簡単ではなく、ビジョンを示し、人を巻き込み、人を育て、団結し、企業文化を醸成しつつ、ときにはルールを作り円滑にし、サービスを磨き、他社を研究し、新しいサービスを作り、顧客に伝えるためのツールを作り、説明し、お役に立つことでファンを増やし、現実的な資金繰りを見ながら、業界の先読みをして、次の事業投資をし、定期的に損益や財務状態の確認をしながら、行動を改め、次に活かすことをやっていく必要がある。

商売を続けようと思うと、これらは当然に、それ以上のことを高いレベルでやり続ける必要がある。
めちゃくちゃやること多いけど、めちゃくちゃ楽しい。

また、商売をやっていると自分達のやっていることの価値がわかる
価値がないことには、そもそも利益(報酬)が生まれないので、利益があるということは価値があることをやっているということがわかるのだ。

商売は、世の中を良くするためにあるべきであって、世の中に貢献した対価として利益(報酬)が生まれるのだと思う。

勘違いしてはいけないのは、その利益は私欲の為に使うのではなく、さらに世の中の良くするために利益を再投資する必要があるということだ。
何の為に利益を上げる必要があるのか、考えて欲しい。
世の中を良くする会社の成長の為である。
良い車、良い時計、モテるため、自慢するために会社を大きくしようとする人に誰がついてくるだろうか。
同じ価値観をもった人はついてくるだろうが、その社長の為に利益を上げようとは思わないので、そう長くは続かない。
社員の給料を上げたり、自社の経営課題をつぶすことに投資したりが大切で、使い過ぎは良くないが、貯め過ぎも良くない。

1-2.私の実体験

私は、2020年になり自分で商売を始めて6年目になるけど、商売を続けていると大事なことがわかってくる。

それは、利他の本質の部分である。

「利他」という、言葉だけ知っていても、実体験がなければその意味を腹落ちさせるのは難しい。
私は実際の商売を通じて「利他」の大切さを知り、成長してきたと思う。

事務所を開業してから、最初の頃は一人でやっていたので、一人でできる範囲の小さい問題解決の仕事から始まった。
しかし、私のやりたいことは一人では実現できないから、社員や外部の協力者など周囲の力を借りてやっていく。
そうやっていると、ありがたいことに、人との繋がりが自然と増えてくる
相手に喜んでもらうことが好きだから、仕事して喜んでくれた人達から感謝されて、さらにやりがいを感じる

そうやって事務所力も徐々に上がってきたと思う。
実像よりも大きく見せたいわけではないので本当に徐々にではあるが、社員と向き合いながら、自分の成長の分、少しずつ事務所力も上がってきている。
でもまだまだ足りてないことが多いからもっと成長しようって思っている。

もちろん大変な時期もあったけど、

自分の利益よりも先に相手に喜んでもらう(問題を解決する)ことが一番大事だと思っていたので、このスタンスを崩さずに、ずっとやってきた。
そのおかげで今日の事務所があるわけで、利他の軸をブラなさかった昔の自分を褒めてあげたい

喜ぶだけ喜んでさっと消えていく人達もいたから、これはある意味、精神的な修行に近いものがあった。
それでも、いいんです。喜んでもらえたから。

このような実体験が、「利他」の意味や大切さを私に教えてくれた。

1-3.解釈のまとめ

改めて、「商売」というのは

自分の仕事を通じて、小さな成功体験を積み重ねていくことで、
それが自信になって経験とスキルが成長して、もっとやりたいことが見えるようになってさらに努力して、いろんな苦労なうまくいかないときもあるけどその体験こそが精神的にも成長させてくれるもの

ではないか思う。

また、結果を出しても謙虚であり続ける姿勢が大切で、
いろんなご縁に恵まれながら、
自分の力だと過信せず感謝し続けることができるのも商売を通じてだからこそだと思う。

やはり、『この一連の行為ってめちゃくちゃ高尚じゃない? 』

私は、そう思う。
商売ってすごくいい。


2.利他の他は誰を指すか


では、利他の「他」って誰のことなのでしょうか。

2-1.相手を喜ばせること

利他と商売について、お話しよう。

歴史を学ばれてる多くの方はご存知かもしれないが、江戸時代にはお金儲けを悪とする風潮があり、かつて商売は卑しいものだと言われていたときがあったらしい。

しかし、それを変えたのが渋沢栄一氏

渋沢栄一氏は、500社以上の会社の創業に関与し日本の近代資本主義の父とされる人物で、2024年から新紙幣1万円札に選ばれた。
私が好きなのは『論語と算盤』

『論語と算盤』には、金銭に批判的な思想を疑い、道徳と経済の両方が均衡することの重要性が書かれている。

つまり、道義を伴った利益を追求し、自分より他人を優先して公益を第一にして、お金儲けをすることと、世の中に尽くすことを両立しなさい、ということだ。

二宮尊徳もこのようなことを言っている。

道徳なき経済は犯罪であり経済なき道徳は寝言である

また、松下幸之助氏は「商売とは感動させること」稲盛和夫氏は「お客様の尊敬を得ること」だとおっしゃっている。

主語がお客様目線で大変ありがたい言葉であり、これは商売の極意である。

私の周りのいい経営者達は、皆さんこれらのことを当たり前のように知っていて実践できていて、共通認識になっている。
だから、いつもお互いに気持ち良く仕事ができているのは皆さんのおかげです。

利他の精神、商売は相手を喜ばせることは重要である。

これは、お客様だけではなく、会社の内側にも同じことが言える。

2-2.自分の周りを大切に

どれだけいい理念を振りかざしていても、世の中の為と言ってても、
その商売を支える社員、仲間、自分の家族が泣くようなことしてたら、絶対にその理念は達成できない

なぜなら、応援してくれる人がいなくなるから。

だから、会社の外側だけを見ていてはいけない
ちゃんと、自分を支えてくれる社員、仲間、家族をハッピーにしながら、商売を通じて自分自身を成長させていかなければいけない

お客様が喜び、世の中が良くなるためには、社員がイキイキと成長とやりがいを感じながら仕事ができる環境にする必要がある。

・コミュニケーションの頻度はどれくらいあるか?
・仕事を指示出しするだけのコミュニケーションになってないか?
・無理させてないか?
・本音を聞き出せているか?
・プライベートでの悩み事はないか?
・社員一人一人が望んでいることを答えられるか?

自身のパフォーマンスを最大に発揮し、社員が働く良い環境を作るためには、家族からの応援が欠かせない。家族からの応援があって、自分本来の力が出せるのである。
家庭を顧みず迷惑をかけて仕事に専念して会社を成長させることだけに命をかけた人生の終わりに、何か残るのだろうか。

・仕事ばかりになってないか?
・夫婦で将来ビジョン話し合えているか?
・悩み事を聞けているか?
・子供と十分な時間を過ごせているか?
・家庭から逃げてないか?

2-3幸せのインサイドアウト(2022年9月追記)

私は「幸せのインサイドアウト」を提案する。
自分を中心とした内側から外側にかけて、自分に関わる人を大切に幸せにしていくことで、世の中が幸せになる思考だ。

自分→家族→働く仲間→お客様→世の中全体

という派生である。

仕事か家庭かの二者択一ではない、全部繋がっている。一つである。時間は有限だが、繋がっているので両方実現可能である。
世の中を良くしたいと言っている人間が、家族を幸せにできていなければ説得力がない。
家族を幸せにできない人間が、どのようにして世の中を良くできるのか。
私は、幸せにしたい対象が増えたことで、強くなれた。
幸せにしたい対象が多いということは成長のチャンスだ。

これらのことからお分かりだと思うが、利他の他はお客様ではなく、あなたの周りにいる全ての人を指しているというのが結論だ。

商売があるということは、自分にとって本当にありがたいことであるし、それを続けられることが幸せである。
それを忘れずに商売を続ける心が大切だ。


3.全員が商売人の心を

会社を経営しているとか関係なく、世の中のみんなが商売をしていると思って欲しい。

会社に勤めている人も商売人だ。

その会社を通じて、会社内外の人に喜んでもらえる仕事をしているはずだから。

部下や後輩をハッピーにしながら、自分を成長させていきたい。

私は偉そうなことを言えるほど人生経験は長くないけど、この解釈はみんなに知っていただきたい。
既に、腹落ちしている人は仕事でも圧倒的な成果を出している人に違いない。


以上、
現時点の所見として商売について書きましたが、私も日々成長中です。

出来るビジネスマンではなく、人の気持ちのわかる商売人でありたい

と思います。

ご覧いただきありがとうございました! KOIBUCHI

日々成長を志す人に向けて、人間力の記事をおすすめします。
『人間力の正体「鬼と金棒」と「非認知能力」』 をご参考までに。

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