大阪の公認会計士・税理士KOIBUCHIです!
若手起業家を中心に注目が集まるスタートアップの4つの成長ステージについてのお話の続きだ。
前回はシードステージについての記事を書いた。
関連記事:「スタートアップの成長ステージ①シードステージ編」
今回は①シードステージ②アーリーステージ③ミドルステージ④レイターステージの段階のうち、②シードステージについてだ。
1.アーリーステージとは
このステージは、「会社設立後間もないが、本サービスがローンチ出来ている段階」である。
「ユーザーがついてきており、メンバーも揃いつつある状態だが、まだマネタイズができておらず事業として安定していない段階」とも言える。
マネタイズというのは、インターネット業界におけるビジネス用語のようなものであるが、簡単に言うと「どうやって収益化していくか」ということである。最近のWEBサービスは、まず無料で利用できるのがほとんど当たり前になってきているが、企業にとって収益が発生しなければ事業を継続させることができない。
この段階でいかに収益化できるかが今後の成長を大きく左右することになる。
2.マネタイズの考え方
マネタイズ方法は様々だ。ここではメディアサービス企業について解説しよう。
「グノシー」や「スマートニュース」は広告収入を得るモデルとなっている。消費者は無料でサービスを利用し、毎日ニュースを読むことができるが、広告が所々に配置されている。これらのメディアは、広告主から広告料を受け取ることで収益をあげている。
一方、同じメディアサービスでも異なる方法でマネタイズしている例もある。「NewsPicks」は専門家のコメント機能を実装し、差別化を行いつつも、広告収入ではなく、ユーザー有料課金モデルである。具体的には、有料会員限定に付加価値の高いオリジナル記事を配信したり、検索機能などより利用しやすくなるような工夫をしている。
その他にも、インターネット通販における販売収入や、売り手と買い手のマッチングサービスにおける手数料収入や、オンラインサロン(会員制コミュニティ)の運営における会費収入、リアルイベント開催と絡めたイベント料など、収益を上げる方法はいくらでもある。
事業を継続させるためには、この段階でいかにマネタイズできるかが鍵になる。マネタイズを検討する際には、利用者に届ける付加価値や付加価値を提供するタイミングに応じて設定する必要があるだろう。
3.マーケティングの重要性が高まる
開発はもちろんだが、マーケティングにもリソースを配分する必要がある。
マーケティング方法は様々であるが、ユーザーを獲得するためにリスティング広告を行うならば、ユーザー1人獲得するのにいくらのコストをかけられるかという採算分析は必要である。
マーケティングにはこのように資金的コストが発生するが、企業などのクライアントを獲得するために営業活動が必要なケースでは創業メンバーにおいて時間的なコストもかかってくる。創業者の時間も有限である。限られた時間の中で最大の効果を最速で出すべきなので、さらに人員を増やす必要もあるかもしれない。
4.KPIで目標管理をしよう
KPIとは、Key Performance Indicatorsの略で、重要業績評価指標という意味である。簡単に言えば「目標を達成するために設定する行動指標」だ。
例えば、ネットショップが「新規訪問数を月間1,000人以上」という目標を設定した場合、①コンテンツページ作成数、②SNSでの拡散数などがKPIになる。
「リピート率を80%以上」という目標であれば、①メルマガ読者数、②フォローメール送信数などがKPIになる。
「新規訪問数を月間1,000人以上」や「リピート率を80%以上」というのはある意味、結果に過ぎず、自分でコントロールできるものではない。だから、自分がコントロールできるKPI(行動指標)を設定して、そのKPIを達成することを目指すべきだ。
また、このKPIの設定と測定は、投資家などの対外的関係者に説明する際にも、非常に効果的だ。
資金調達においては、アーリーステージではシリーズAと呼ばれる。ベンチャーキャピタルからの本格的な出資を初めて受けるラウンドであり、シードラウンドに比べ、調達金額は比較的大きい。この投資判断の際に、KPIをどれだけ達成できているかも評価に関係してくるのである。
今回は、4つの成長ステージの中で、②アーリーステージについて書いた。
次回はこれに続く③ミドルステージについてお話ししたいと思う。
ご覧いただきありがとうございました! KOIBUCHI
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