大阪の公認会計士・税理士KOIBUCHIです!
経営者が持つべき意思決定力と創造力について書きます。
以前、某上場会社会長のお話を聞く機会があり、大変勉強になったのだが、その中での心に引っかかったことがあった。
それは「私は常に頭の片隅にアートを置いている」ということ。
理由がわからなかった。
いったい何故アートを集めるのか?
お金持ちの遊びではないのか?
経営とアートはどんな関係があるのか?
この個人的な問いに対して、
「経営者として思考の柔軟性を保ち、クリエイティブな発想とユニークさをアート的感覚から得ている」
のだろうと、勝手に想像をして答えをしばらく寝かせていた。
それから約1年経過。この本読んで納得した。
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~』
なんとなくしか語れなかった内容が、ものすごくわかりやすくかつ説得力のある文章で書かれている。
著者の山口周さんすごい。
自分の頭の中でぐるぐる回っていたことがストンと腹落ちしたので、暖かいうちに記事にします。
経営者が持つべき創造力と意思決定力は、自分の中のアート的感覚と密接に関わっている
というお話です。
1. 多くの上場会社がアートに興味を示している
まず、経営者はアートにそもそも興味を持っているのかについてお話しする。
2017年5月に株式会社スタートトゥデイ代表取締役社長の前澤友作氏が、ジャン=ミシェル・バスキアの作品を約123億円で落札したニュースはあまりにも有名だ。
もちろん、その他にも数々の名画を購入している。
購入した理由は「好きだから」。
好きだけで買ってしまえる大胆さが凄いが、これ以上の理由はないのかもしれない。
また、他の大企業がアートに関わっている事例も見逃せない。
企業が私設で美術館を建てているのだ。下記はその例の一部。
三菱一号館美術館:三菱地所株式会社
サントリー美術館:サントリーホールディングス株式会社
ルーブルDNPミュージアムラボ:大日本印刷株式会社
ブリヂストン美術館:株式会社ブリヂストン
ポーラ美術館:株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
根津美術館:東武鉄道株式会社
など、インターネットで検索しただけでも国内60箇所以上は超えている。
一見、経営とは関係のないアート美術館を何故建てようと思ったのか?
次節からこの疑問に対する答えに入っていく。
2. 論理的な意思決定にもはや限界がきている
先程紹介した本(以下、同書籍)では、
「サイエンス=論理/理性」と「アート=直感/感性」という言葉で対比されているが、現代は論理的な経営が重視される傾向にある。
分析やパターン化というのも好きな人は多いだろう。
経営理論が体系化さればされるほど様々な分析指標が現れ、かつてのコンサルティング会社が助言してきたように合理的な経営こそがスマートで格好良いように思う。
そして何よりも、不安な経営者にとって合理的な思考によるパターン化は精神的な安心材料になる。
私も同じ立場なので、答えのない世界に答えを求めたくなる気持ちはわかる。
これらを否定するつもりはないし、経営にとって分析やパターン化は重要だ。
ただ、合理性が全てだと思っていると大変な目に遭うだろうと私は思う。
何故なら、
外部環境の変化が早く複雑で不確実性の高い現代社会においては、教科書的な決まりきった解決方法がないからだ
論理や分析だけを極めても、柔軟な発想を持った解決能力がなければ会社は前に進めない。
また、
合理的に考えれば考えるほどライバルも同じ意思決定をするので、同じような行動になり差別化もできない
論理的な意思決定に限界がきているから、センスの良い人たちは直感を鍛える必要性を感覚的に理解しているのだろう。
3. 直感を鍛えればどうなるのか
ここまで論理だけに頼らない「直感/感性を鍛える重要性」についてお話してきました。
それでは、直感を鍛えればどうなるのか。
これに関して、同書籍で興味深い内容が記述されています。
高度な意思決定の能力は、はるかに直感的・感性的なものであり、絵画や音楽を「美しいと感じる」のと同じように、私たちは意思決定しているのかもしれない
脳の前頭前野は「美を感じる役割」を担っており(英ロンドン大神経生物学研究所)、情報に接触することで呼び起こされる感情や身体的反応が脳の前頭前野に影響を与えることで、「良い」「悪い」の判断を助け、意思決定の効率を高める(ソマティック・マーカー仮説)ようだ。
また、細かい分析や数字とにらめっこしていても何ら解決方法なんて導き出せない。
優れたアイデアは脳がリラックスしている時に出てくるものであることは、皆さんも経験したことがあるはずだ。
つまり、
直感と感性を鍛えれば、意思決定力が高まり、柔軟な創造に繋がる
というのが私の考えである。
以上、
目的は人それぞれだが、アートはお金持ちの遊びではなく、将来値上がりを期待した投資としての対象でもない。
アートから得られるものは計り知れない。
知っていることでアートとの付き合い方も変わるし、日常の充実感も違ってくるだろう。
あるデータによると、ノーベル賞受賞者と一般人を比較した場合、ノーベル賞受賞者は芸術的趣味を保有している確率が2.8倍高いそうだ。つまり、
「アート」と「サイエンス」が両立すると、知的パフォーマンスは向上する!
ということだ。
だから私は、サイエンス(論理)とアート(直感)を個人の中に共存させることで最強を目指します!!
次回は、『経営者が意思決定力と創造力を鍛える4つの方法 〜実践編〜』について書きます。
ご覧いただきありがとうございました! KOIBUCHI
コメント